皆さんも自分の好きな映画やドラマの世界に入り込んで主人公の気分を追体験したいと思ったことはありませんか?
好きな映画の舞台やロケ地を巡ってそうした気分を味わうことは個人旅行でしかなかなかできません。
これまでも旅行を計画するときのメインテーマの一つとしてきました。そうした中でも特に印象に残った場所をエリア別にを紹介していきたいと思います。

今回は映画の本場アメリカの中西部~南部と言われるエリアでの体験を紹介します。具体的な場所は以下の地図を参照ください。
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広大なアメリカで交通の便のあまりよくない中央エリアを回るのは、移動の時間がかかったり公共交通機関がないのでレンタカーを借りないといけない等制約が多いです。しかし映画好きにはたまらない場所だと思いますので、次回アメリカに行くときに組み込むことを考えてみてください。
メンフィス ~ 映画「エルヴィス」
最初は2022年に公開された”エルビス・プレスリーの半生を描いた映画「エルヴィス」”の舞台となったテネシー州メンフィスのプレスリーの邸宅跡「グレースランド(GRACELAND)」です。(1993年訪問)
グレースランドはメンフィス国際空港の近くなので、レンタカーを借りればすぐに到着です。






内部は撮影できなかったので、記念の絵はがきで紹介します。



広い家に内装にはゴールドをふんだんに使っていて、ゴージャスと思うか趣味がよくないと思うかは人それぞれですね。



現在のグレースランドは拡張されて邸宅以外の展示も充実し、宿泊施設も併設された一大レジャーパークになっているようです。(The Home of Elvis Presley | Graceland参照)
さて、メンフィス市内に移動すると映画でも紹介されたエルヴィスゆかりの場所があります。

エルヴィスの音楽スタイルは白人のカントリーミュージックと黒人音楽が融合したものと言われていますが、メンフィスは黒人音楽特にブルースのメッカと言われています。


ミュージシャン以外にもエルヴィスに影響を与えた人として公民権運動の指導者キング牧師が映画に登場します。彼はこのメンフィスの地で暗殺されました。




また、メンフィスから東へ340kmいったところにはカントリーミュージックの聖地と言われるナッシュビルがあり、エルヴィスが利用したレコーディングスタジオがあります。

エルヴィスとは直接関係はありませんが、ナッシュビルには音楽をテーマにしたオープリーランドUSA(Opryland USA)というテーマパークが1997年までありました。



テネシー州はエルヴィスを含めてアメリカ音楽の中心地として楽しめるところがたくさんあります。機会があれば是非行ってみてください。
ダイアースビル ~ 映画「フィールド・オブ・ドリームス」
次は1989年に公開された”野球を通して失われた父子の絆を取り戻す物語を描いた映画「フィールド・オブ・ドリームス」”の舞台となったアイオワ州ダイアーズビルのトウモロコシ畑の中の野球場です。(1991年訪問)
フィールド・オブ・ドリームスのロケ地は交通の便のあまりよくないところにあるので、最寄りの空港であるシカゴオヘア国際空港でレンタカーを借りてから300kmのドライブとなります。
シカゴから平原の中を走り抜けて、イリノイとアイオワの州境にあるミシシッピ川を越えていきます。


見渡すかぎりのトウモロコシ畑の中に野球場が忽然と現れます。



広々としたフィールドで子供たちが楽しんでいる姿を眺めていると、ゆったりとした時間が流れ穏やかな気分になります。






映画の世界をそのまま感じることができ、野球に興味がない人でも楽しめると思います。交通の便は良くないですが、訪れる価値のある場所でした。
現在では「フィールドオブドリームス ムービーサイト」(fieldofdreamsmoviesite.com)としてきれいに整備されており、2021年8月には観客席も設置されMLBの公式戦「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が行われました。
映画のような劇的展開「フィールド・オブ・ドリームス」ゲーム/詳細 – MLBライブ速報 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
2022年8月にも開催され、シカゴ・カブスの鈴木誠也選手も出場しました。
グリフィー親子が映画再現のキャッチボール、フィールド・オブ・ドリームス・ゲームは「魔法」 – MLB : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
<作品情報>
フィールド・オブ・ドリームス(原題:FIELD OF DREAMS) 1989年
監督 フィル・アルデン・ロビンソン
出演 ケヴィン・コスナー、ジェームズ・アール・ジョーンズ
ウィンターセット ~ 映画「マディソン郡の橋」
次は1995年に公開された”平凡な主婦と中年のカメラマンの4日間の恋を描いたベストセラー小説を映画化した「マディソン郡の橋」”の舞台となったアイオワ州のウィンターセットです。(1996年訪問)
ウィンターセットはアイオワ州都にあるデモイン国際空港からレンタカーで回ればそれほど遠くはありません。
先ずは映画のタイトルにもなったこのエリアのカバードブリッジ(屋根付き橋)を見て回ります。


物語の中で重要な場所として登場するのが「ローズマンブリッジ」です。女性主人公フランチェスカが男性主人公ロバート・キンケイドを夕食に招待するメモをこの橋に貼ったことで、物語が大きく展開していきます。


近くにはフランチェスカの自宅として映画に使われた家が公開されています。



家の前には映画でキンケイドが乗っていたピックアップトラックも置いてあります。

建物の内部は映画の世界をそのまま再現されています。



次はウィンターセットの町中に戻りました。雨が降りしきる中、フランチェスカの乗った車とキンケイドの車が交差点で停止した後に別々の方向に向かっていく映画終盤のハイライトシーンが思い起こされます。


映画の世界を疑似体験できる素晴らしい場所でした。メリル・ストリープの名演技が思い起こされます。
この映画とは直接関係ありませんが、ウィンターセットは西部劇の大スター”ジョン・ウェイン”の生まれ故郷でもあります。


<作品情報>
マディソン郡の橋(原題:THE BRIDGES OF MADISON COUNTY) 1995年
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド、メリル・ストリープ
インディペンデンス ~ ドラマ「大草原の小さな家」
次は1974~83年(日本では1975年~)にシリーズとして放映された”西部開拓期に中西部を幌馬車で移動しながら暮らす一家を描いた人気TVドラマ「大草原の小さな家」”の舞台となったカンザス州のインディペンデンスです。(1996年訪問)
インディペンデンスはオクラホマ州のタルサ国際空港からレンタカーで120㎞ほど離れたところになります。
この土地は主人公のインガルス一家がウィスコンシン州ぺピン(「大きな森の小さな家」の舞台)から移ってきて「大草原の小さな家」と作者のローラ・インガルス・ワイルダーが名づけた場所です。


この土地で3女のキャリーが生まれますが、事情があって2年間でぺピンに戻ってしまいます。


さて、ここでは父さんが自力で建てた家が復元されています。




当時の暮らしぶりを示す展示もあります。


この辺りはいかにもアメリカの田舎町といった雰囲気です。


ドラマのロケはここでは行われなかったようですが、実際に一家が住んでいた場所ということでドラマの感動がよみがえってきました。
現在この場所は大草原の小さな家博物館(Little House on the Prairie Museum)と名前を変え、きれいに整備されているようです。
ここから東に300kmほど走ったミズーリ州マンスフィールドにローラの終の棲家で「小さな家」シリーズを執筆した場所であるローラ・インガルス・ワイルダーハウス(lauraingallswilderhome.com)があります。




主人公たちが暮らした場所を一部でも巡ってみたことで、車のない時代に彼らの辿った道のりがいかに大変だったか実感できました。
<映画情報>
大草原の小さな家(原題:LITTLE HOUSE ON THE PRAIRIE) 1974~83年
監督 マイケル・ランドン他
出演 マイケル・ランドン、メリッサ・ギルバート、カレン・グラッスル、
アトランタ ~ 映画「風と共に去りぬ」
次は1939年に公開された”南北戦争の時代にたくましく生きる女性スカーレット・オハラを中心とした壮大なラブストーリーを描いた不朽の名作「風と共に去りぬ」”の舞台となったジョージア州アトランタです。(1992年訪問)
アトランタ空港よりアトランタ市内に向かいます。
映画は世界中で大ヒットとなり長く興行収入1位の座を守っていました。


物語の舞台となったタラはジョージア州の架空の土地ですが、作者のマーガレット・ミッチェルはアトランタ郊外のエリアをモデルにしたと言われています。

郊外の歴史公園に南北戦争以前の大農場主の邸宅や奴隷が暮らした家が保存されています。

園内には映画の世界を彷彿とさせる農園主の邸宅がジョージア州各地から移設されています。




一方で農園で働く黒人奴隷の暮しは対照的なものです。


映画でも描かれているように、南北戦争で奴隷制度を維持しようとした南軍は敗北します。しかし、南部の町であるアトランタでは南軍の将軍たちが英雄として扱われていました。歴史公園にある世界最大の花こう岩「ストーン・マウンテン」には3人の英雄のレリーフが彫られています。

2020年の白人警察官によるアフリカ系市民への暴力に端を発したBLM(Black Lives Matter)運動ではこれらの南部の将軍たちは人種差別主義者として銅像を撤去され、逆に白人の人たちがその動きに抗議運動を展開する事態になりました。

BLM運動では、映画「風と共に去りぬ」も奴隷制度を美化しているという理由で一時配信が停止されるという事態も発生しました。立場によって見方が変わる難しい問題ですが、政治的な話と文化的な話は区別できないものでしょうか?
作者のマーガレット・ミッチェルはアトランタ市内の墓地に眠っています。

映画の世界からは離れますが、アトランタには他にも見所がたくさんあります。
「コカ・コーラ」、「CNN」といった世界を代表する大企業の本社はアトランタにあります。



1992年当時はCNN創業者のテッド・ターナーがMGM旧作の版権を所有していたため、映画関係の展示物もありました。

また、アトランタはメンフィスで暗殺されたキング牧師(映画「エルヴィス」の項参照)の生まれ故郷で生家とお墓があります。



アトランタは1996年にはオリンピックを開催し、ますます大きな町へと発展を遂げていますが、映画に描かれたような南部を代表する町としての側面も持ち合わせており興味は尽きません。
<映画情報>
風と共に去りぬ(原題:GONE WITH THE WIND) 1939年
監督 ヴィクター・フレミング
出演 ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲイブル
ニューオリンズ ~ 映画「欲望という名の電車」
次は1952年に公開された”未亡人となり、妹夫婦のもとに身を寄せて人生を模索する女性の哀しき顛末を描いたテネシー・ウィリアムズ原作の舞台劇を映画化した「欲望という名の電車」”の舞台となったルイジアナ州ニューオリンズです。(1992年訪問)
ニューオリンズの空港から町の中心地までは25kmほどです。

ニューオリンズで物語は展開するのですが、舞台劇の映画化ということもあってオープニングを除いてほとんどの場面はセットで撮影されています。
映画のオープニングに登場するタイトルにもなった路面電車は「世界最古の現役路面電車」と言われています。



この路面電車に乗って主人公の未亡人が向かうのはフレンチ・クォーターの一角にある妹夫婦の家です。フレンチ・クォーターはニューオリンズ随一の観光名所となっています。




また他のジャズクラブではデキシーランド・ジャズの演奏で盛り上がります。


こうしたメインストリートは夜でも安全ですが、映画の舞台となった裏通りは治安が悪く観光客は近づけません。
映画とは関係ありませんが、ニューオリンズには他にも楽しめる場所がたくさんあります。


街はミシシッピ川に面しているのでクルーズ船もたくさん出ています。

これ以外にミシシッピ川支流の沼地や湿地を巡るツアーもあり、面白い体験ができます。

ニューオリンズは2005年に発生したハリケーン「カトリーナ」の直撃で壊滅的な被害を受けました。その後2021年にもハリケーン「アイダ」が直撃し、またも大きな被害がでました。

たくさんの良い思い出を作れた場所なので、被害に遭われた方々が一日も早く元の生活を送れるようになることを祈ってます。
<映画情報>
欲望という名の電車(原題:A STREETCAR NAMED DESIRE) 1952年
監督 エリア・カザン
出演 ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド
マキナック島 ~ 映画「ある日どこかで」
最後は1980年に公開された”時空を超えて愛し合う男女をロマンティックに描いた映画「ある日どこかで」”の舞台となったヒューロン湖に浮かぶミシガン州のマキナック島です。(1991年訪問)
デトロイト空港から車で約500㎞北上しマキノ―シティ―まで往き、そこで船に乗り換えてマキナック島に渡ります。(マキナック島は車の乗り入れが禁止されています。)
マキノ―シティに車を置いてフェリーに乗ればマキナック島に到着です。


マキナック島は車が入ってこれないので、移動手段は徒歩、自転車、馬車の何れかになります。



自転車での島の観光を終えて、いよいよ映画の舞台となったグランドホテルに向かいました。


創業が1887年ということで、映画でタイムスリップする時代設定の1920年代にとてもよく合った雰囲気です。



映画の中ではこのホテルは紳士・淑女の集まる場所として描かれていましたが、現在でもホテルに滞在するにはドレスコードを守る必要があります。

ドレスコードに合った服装に着替えて夕食前にホテル内を散策します。




アメリカと言えばカジュアルファッションのイメージが強いですが、このホテルに来る人はきちんとTPOに応じた服装で楽しんでいるという雰囲気でした。

建物というハード面だけでなく、こうした昔ながらの伝統を守っているというソフト面も含めたトータルの雰囲気で映画のロケ地に選ばれたのですね。
<映画情報>
ある日どこかで(原題:SOMEWHERE IN TIME) 1980年
監督 ジュノー・シュウォーク
出演 クリストファー・リーヴ、ジェーン・シーモア
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