皆さんも自分の好きな映画やドラマの世界に入り込んで主人公の気分を追体験したいと思ったことはありませんか?
好きな映画の舞台やロケ地を巡ってそうした気分を味わうことは個人旅行でしかなかなかできません。
これまでも旅行を計画するときのメインテーマの一つとしてきました。そうした中でも特に印象に残った場所をエリア別に紹介する2回目です。

今回はアメリカとカナダの西部エリアでの体験を紹介します。西部劇の本場だけあって大自然が取り込まれているところが多いです。具体的な場所は以下の地図を参照ください。

今回も一部の都会を除き交通の便のあまりよくないエリアが多くなり、移動の時間がかかったり公共交通機関がないのでレンタカーを借りないといけない等制約が多いです。しかし映画好きにはたまらない魅力的な場所ばかりですので、次回の旅行に組み込むことを考えてみてください。
デビルズタワー ~ 映画「未知との遭遇」
最初は1977年に公開された”人類と異星人の接触を描いた大ヒット映画「未知との遭遇」”の舞台となったワイオミング州のデビルズタワーです。(1995年訪問)
デビルズタワーはサウスダコタ州のラピッド・シティ空港からレンタカーで200㎞ほど離れたところになります。
大平原の中を走っていると「未知との遭遇」をもじった看板に遭遇。

さらに車を進めると忽然と姿をあらわします。

デビルズタワーは1906年にアメリカ最初の国定記念物に指定されました。


6千万年前に地表に出てきたマグマが冷えて固まった後、硬くて侵食を受けずに残った部分がデビルズタワーです。


アメリカ先住民のデビルズタワーの伝説です。
「大きなクマに襲われた先住民の人たちが、平らな岩の上に避難して魔法をかけると岩がグングン高く伸びました。熊は何とか爪をたてて登ろうとしましたが届かず、先住民にやられてしまいました。」
この岩がデビルズタワーになりその時のクマの爪痕が周辺に残ったということです。
デビルズタワーは遠くから眺めるだけでなく、周囲をトレッキングできます。





間近で見ると、この頂上が映画に出てくるUFOの着陸場所と言われても思わず納得してしまうような光景でした。
映画とは関係しませんが、出発地のラピッドシティには全米トップクラスの知名度を誇る観光スポットがあります。
それが、ラシュモア山の山壁に彫られた歴代大統領の彫刻です。

皆さんも写真で見られたこともあると思いますが、こちらも大迫力で一見の価値ありです。
また、途中にあるカスター州立公園にはプレーリードッグの生息地があり、可愛い姿を見せています。


<映画情報>
未知との遭遇(原題:CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND) 1977年
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー
グランドティトン ~ 映画「シェーン」
次は1953年に公開された”流れ者の開拓者一家との交流や悪徳牧場主との戦いを描いた名作西部劇「シェーン」”の舞台となったワイオミング州グランドティトン国立公園です。(1995年訪問)
グランド・ティトンは最寄りのジャクソンホール空港から10km程度のところにあります。
出発地のジャクソンホールはいかにも西部の街といった雰囲気です。

しばらく車を走らせるとグランドティトン国立公園の入口です。

公園内に入ると早速映画で見た「遥かなる山々」の姿がみれます。



途中には小さな教会もあり、この辺りの風景は映画の中の牧場から見える風景に近いものがあります。

教会名はトランスフィギュレーション教会と言い、中から見える風景も絶景です。



映画のラストシーンで、少年が去って行くシェーンの後ろ姿に”Shane! Come Back!”と言った姿が思い起こされます。
国立公園の中は、大自然を楽しみながら滞在できる場所がたくさんあります。


湖畔にはロッジやキャンプ施設も充実しています。

映画からは外れますが、グランドティトン国立公園の隣にはアメリカ最古の国立公園「イエローストーン」があります。こちらもアメリカに行くチャンスがあれば是非訪れてみてほしい所です。

イエローストーンは野生動物が多く生息しており、園内では動物優先となってます。





映画の舞台ということを除いても見所の多いエリアなので、訪れる際は時間に余裕を持ったスケジュールを組むことがお勧めです。
バンフ ~ 映画「帰らざる河」
次は1954年に公開された”ロバート・ミッチャムとマリリン・モンローの共演による開拓者父子と酒場女の物語を描いた西部劇「帰らざる河」”のロケ地となったカナダ・アルバータ州バンフです。(1991年訪問)
バンフはカナディアンロッキー国立公園の中心地で、最寄りのカルガリー空港から150kmほど離れています。
映画の中の有名な急流の筏下りのシーンはカナディアンロッキーを源流とするボウ川で撮影されました。


映画の筏下りを追体験するために、ボウ川のラフティング・ツアーに参加しました。


期待に反して、ツアーコースの流れは穏やかでした。そのかわりに風景をゆっくり楽しむことができました。



乗馬でボウ川を渡るというアトラクションも体験しました。



映画の世界を追体験することはかないませんが、機会があったら是非訪れる価値のあるところだと思います。日本からもいろいろとツアーが出ているので、季節のいい時に訪れることを計画してみてください。
ここカナディアンロッキーは人気の観光地なので、映画のロケ地以外も見所満載です。

-1-1024x728.jpg)


このエリアも野生動物の宝庫でもあり、出会うチャンスも多いです。
また、出発地のカルガリーは1988年の冬季オリンピックの開催地です。その会場が公園として楽しめます。

<映画情報>
帰らざる河(原題:RIVER OF NO RETURN) 1954年
監督 オットー・プレミンジャー
出演 ロバート・ミッチャム、マリリン・モンロー
アルカトラズ島 ~ 映画「アルカトラズからの脱出」
次は1979年に公開された”脱獄不可能と言われた海に浮かぶ孤島の刑務所からの奇跡の脱出を描いたサスペンス映画「アルカトラズからの脱出」”の舞台となったカリフォルニア州サンフランシスコのアルカトラズ島です。(1992年訪問)
アルカトラズ島へはサンフランシスコ空港から25㎞ほど走ってサンフランシスコのダウンタウンに出てツアー用フェリー(要予約)で渡ります。
ダウンタウンの中心地からはサンフランシスコ名物のケーブルカーに乗ってフェリーが出発する桟橋に向かいます。




この島の周囲は海流も早く、水温も低いため脱獄しても生きて対岸に渡れないと恐れられていました。



この監獄は1963年まで実際に使われていて、映画の題材になった3名の囚人の脱獄事件は閉鎖の1年前の1962年に発生しました。
脱獄後はこの海を自作のイカダで渡ろうとしたようです。
さて島に到着後は実際に使われていた監獄内の見学ツアーに参加です。


映画のモデルとなった脱獄犯の独房も残っています。


壁の穴はスプーンで通気口を広げたとのことで、人間の執念には恐ろしいものがあるなと感じました。

実際に脱走した3名の囚人はその後の消息が全く不明だったため、海上で遭難して全員死亡というFBIの公式見解が1979年に発表されました。
映画はこの部分では異なる仮設をたてています。
こちらの刑務所には名の知れた犯罪者も収監されていました。

また収監者の中には数奇な運命をたどった人もいます。


こちらの独房に収監されていたレオン・トンプソンさんは銀行強盗での刑期を終えた後に改心し、自分自身の刑務所での体験(犯罪を犯すことの無意味さ)を本に綴りベストセラー作家となりました。

サンフランシスコは言わずと知れた有名観光地なのでアルカトラズ島以外にも見所満載です。





サンフランシスコは日本からでも訪れやすい観光地の一つなので、行くチャンスがあれば是非「アルカトラズ島」も組み込んでください。
<映画情報>
アルカトラズからの脱出(原題:ESCAPE FROM ALCATRAZ) 1979年
監督 ドン・シーゲル
出演 クリント・イーストウッド、パトリック・マクグーハン
ラスベガス ~ 映画「リービング・ラスベガス」
次は1995年に公開された”アルコール依存症の脚本家と娼婦の破滅的な愛を描いたラブストーリー「リービング・ラスベガス」”の舞台となったネバダ州ラスベガスです。(1993年訪問)
ラスベガスの中心地へは最寄りのハリー・リード(旧マッカラン)国際空港から5㎞ほどで到着します。(空港の名前は、2020年のBLM運動の余波で100年前の故マッカラン氏の人種差別的発言が問題視され空港名に相応しくないとのことで2021年12月変更されました。)
映画のタイトルバックにはラスベガス中心地のカジノやホテルを空から撮影した印象的なシーンが使われています。


ラスベガスの夜はネオンサインに彩られて煌びやかです。


主人公のベンが娼婦サラに最初に声をかけて誘う場面がフラミンゴ・ヒルトンホテルの前でした。

次にベンがサラをディナーに誘ったのがバリーズホテルでした。

サラが車を拾うために立っていたのがミラージュホテルの噴水前でした。


映画にもカジノのシーンが出てきますが、残念ながらカジノ内部は撮影禁止です。ただ、さすがラスベガスだけあって、空港にもカジノが設置されていたので雰囲気を感じてください。


映画自体はアル中と売春という世の中の負の部分を描いていますが、主演俳優たちの熱演もあり見応え十分です。ラスベガスの華やかさの裏側も交えて、町の雰囲気がスティングの歌う主題歌と共によく伝わってきます。
1990年代にはラスベガスではカジノの人集めのためのショーだけではなく、大型ショーをメインにしたりテーマパーク風のホテルで観光客を集める手法が広がってきました。
-1024x640.jpg)



時代と共に家族で訪れても皆が楽しめる街へと変わってきているようです。機会があれば映画の時代のラスベガスと比べてみるのもいいかもしれません。
ラスベガスは町を一歩外に出ると砂漠地帯です。東へ60㎞ほど走ったところには1930年代の世界恐慌時の景気浮揚策「ニューディール政策」の象徴的なプロジェクトとして語られるフーバーダムがあります。


<映画情報>
リービング・ラスベガス(原題:LEAVING LAS VEGAS) 1995年
監督 マイク・フィギス
出演 ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー
モニュメントバレー ~ 映画「駅馬車」
次は1939年に公開された”駅馬車を舞台に、先住民の襲撃や無法者との決闘などを交えながら、乗客の人間模様を描いた傑作西部劇「駅馬車」”の舞台となったアリゾナ州とユタ州の州境にあるモニュメントバレーです。(1993年訪問)
モニュメントバレー近郊には定期便が飛ぶ空港がないので、ラスベガスのハリー・リード国際空港から650㎞ほど車で走ります。(LAやラスベガスからツアーも出ています。)
モニュメントバレーは「モニュメントバレー・ナバホ・トライバル・パーク」としてアメリカ先住民のナバホ族が管理しているエリアにあります。


映画監督のジョン・フォードが最初にモニュメントバレーをロケ地として採用したのが「駅馬車」で、その後も「荒野の決闘」、「黄色いリボン」といった作品のロケをここで行いました。
「駅馬車」に出てくる印象的なモニュメントバレーのビュート(岩山)とメサ(大地)の風景を紹介します。




フォード監督が気に入った撮影スポットは「ジョン・フォードポイント」と呼ばれ、ビューポイントとなっています。


こうした風景を見るには「バレー・ドライブ」というオフロードの決められたコースを車で回るのが便利です。


パーク内には「グールディングス・ロッジ」という宿泊施設があり、こちらに泊まると朝夕のモニュメントバレーの絶景が見られます。



このロッジはフォード監督のロケ隊が撮影時に滞在したところです。もともとこの場所をロケ地として監督に推奨したのはオーナーのグールディングス夫妻と言われています。




こうした風景が見られるということだけでも、パーク内に宿泊する意味はあると思います。
パークにつながるUS-163号線は平原を貫いたアメリカらしい道路で、「フォレストガンプ」や「イージーライダー」といった映画のロケに使われました。


多くの映画のロケ地として使われたことからも分かるように、「これぞアメリカ!」と強く印象付けられる風景の連続です。一度きりの人生、ぜひ訪れてみてください。
映画からは離れますが、モニュメントバレーから南西に300km程走るとアメリカを代表するもう一つの観光地「グランド・キャニオン」があります。こちらも絶景が広がります。




<映画情報>
駅馬車(原題:STAGECOACH) 1939年
監督 ジョン・フォード
出演 ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル
トゥームストーン ~ 映画「OK牧場の決斗」
最後は1957年に公開された”伝説の保安官ワイアット・アープと賭博師ドク・ホリデイの友情、そしてクラントン一家との戦いを描いた名作西部劇「OK牧場の決斗」”の舞台となったアリゾナ州トゥームストーンです。(1993年訪問)
トゥームストーンには最寄りのツーソン国際空港から100㎞ほど車で走ります。
OK牧場での銃撃戦は実際にあった事件で、映画化は本作だけでなく「荒野の決闘」(1947年)、「ワイアット・アープ」(1994年)等たびたび映画化されています。アメリカ人にとっては日本の「忠臣蔵」のような題材かもしれません。

OK牧場は現在でも当時の姿を残しています。


英名は「O.K. CORRAL(コラル)」と言い、牛や馬を入れておく柵囲いのことになります。牧場はRANCH(ランチ)と言ってもっと広く大きいものになりますが、柵囲いといっても日本人に馴染みがないので敢えて牧場と訳したそうです。





狭い囲いの中での30秒間の打ち合いで、クラントン一家側4人の内3人が射殺されたそうです。ただし、クラントン側には丸腰の人間が2人いたという説もあり、実態は単純な勧善懲悪のお話ではなさそうです。
現在ではOK牧場での銃撃戦をショー形式で見せてくれるアトラクションもあるようです。
O.K. Corral Gunfight Site, Tombstone AZ: Home (ok-corral.com)
また、OK牧場の中には西部開拓時代に関連した写真の展示スペースもあります。



トゥームストーンは「1870年代から1880年代にかけての辺境の町の町並みが最もよく保存された例」として国の歴史地区に指定されています。




OK牧場での銃撃戦を取り上げた映画のそれぞれでワイアット・アープを中心とした主人公たちの描かれ方が異なるので、史実を知った上で見比べると楽しいかもしれません。とにかく当時の雰囲気を味わうには最適な町です。
トゥームストーンから北西に130kmほど走ったところに西部劇の撮影所とテーマパークを兼ねた「オールド・ツーソン・スタジオ」がありました。(2022年8月現在休園中で同年10月の営業再開に向けて準備中とのことです。)
ここは西部劇ファンであれば盛り上がること間違いない場所です。








<映画情報>
OK牧場の決斗(原題:GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL) 1957年
監督 ジョン・スタージェス
出演 バート・ランカスター、カーク・ダグラス
コメント