皆さんも自分の好きな映画やドラマの世界に入り込んで主人公の気分を追体験したいと思ったことはありませんか?
好きな映画の舞台やロケ地を巡ってそうした気分を味わうことは個人旅行でしかなかなかできません。
これまでも旅行を計画するときのメインテーマの一つとしてきました。そうした中でも特に印象に残った場所をエリア別に紹介する8回目です。

今回からは日本国内に舞台を移して、東京や神奈川が舞台となった映画やドラマに焦点をあてます。

東京① ~ 映画「男はつらいよ」
最初は1969年に公開された”国民的喜劇シリーズの第1作で中学生の時に家を飛び出した「フーテンの寅」こと車寅次郎が20年ぶりに故郷に帰ってきてマドンナに恋したり騒動を巻き起こす映画「男はつらいよ」”の舞台となった東京の葛飾柴又です。
寅次郎(寅さん)の故郷「柴又」は千葉県との県境近くの東京の下町にあります。


映画の寅次郎の登場シーンは江戸川の千葉側から渡船「矢切の渡し」に乗って柴又に上陸するところで始まります。


江戸川から帝釈天参道にある叔父夫婦が営む実家の団子屋「とらや」に向かいます。



映画での重要なキャラクターとして登場するのが、寺の住職・御前様と寺男・源公です。寅次郎(寅さん)との絡みは時間的に少なくても映画の良いアクセントになっています。

近くにある「寅さん記念館」では、柴又帝釈天参道の昭和30年代の様子が展示されていました。

妹さくらの見合いをぶち壊したりして、寅次郎は再び旅に出ます。旅先の奈良で、映画の定番となるマドンナと出会い恋に落ちます。因みに第1作のマドンナは帝釈天の御前様の娘・冬子です。



その他にも奈良の名所がたくさん登場します。




この後の展開はさくらと裏の工場の博との結婚に至るドタバタや寅さんの失恋といった構成となっていて、48作まで続くシリーズを形作るすべての要素が含まれています。
葛飾柴又もシリーズ全作で寅さんの帰って来る舞台として登場するので、ファンならずとも訪れて損のない所です。
東京② ~ 映画「ロスト・イン・トランスレーション」
次は2004年に公開された”初老のハリウッド俳優と孤独な若いアメリカ人妻が東京で出会い、淡い恋心を抱きつつも別れる姿を描く映画「ロスト・イン・トランスレーション」”の舞台となった東京の渋谷~新宿です。
映画のオープニングシーンは、アメリカから着いたばかりの俳優ボブがタクシーで新宿や渋谷の街を走ってホテルに到着する場面です。


ボブとアメリカ人妻シャーロットが共に滞在し、出会うのが新宿のパークハイアット・ホテルです。


周辺は東京都庁もある新宿駅西口周辺の高層ビル群の一角にあります。

シャーロットは写真家の夫が仕事で忙しく、寂しさを紛らわすために一人で東京の街を散策します。




この映画をきっかけに「渋谷スクランブル交差点」は海外でも広く知られるようになり、今や日本を代表する風景の一つになったそうです。
また、シャーロットは一人で京都も訪れます。






シャーロットが一人で京都を回るシーンは一切セリフのない構成になっています。東京の「動」に対して京都の「静」を対比させており、日本をよく知らない海外の観客に日本文化の多様な側面を伝えているように思います。
ボブとシャーロットが距離を縮めていく姿が東京の街並みとともに描かれます



そして、映画のラストシーンは新宿駅西口が舞台です。


オール日本ロケのハリウッド映画ということで、それでなくても孤独を感じている人間が異国の地での疎外感も加わって揺れ動く姿が良く描けていたと思います。日本の描かれ方に所々?がつく場面もありますが、自分たちの国が海外の人の目にはどのように映っているのかということを考えながら、舞台となった街を回ってみるのも一興です。
<映画情報>
ロスト・イン・トランスレーション(原題:LOST IN TRANSLATION) 2004年
監督 ソフィア・コッポラ
出演 ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン
東京③ ~ 映画「舟を編む」
次は2013年に公開された”新しい辞書づくりに取り組む、個性豊かな出版社編集部の人々の人間模様と地道な努力を積み重ねる姿を描く映画「舟を編む」”の舞台となった東京の神保町周辺です。
神保町周辺は出版社や書店が並ぶ東京の文教地域となっています。



主人公の馬締(まじめ)が働く出版社「玄武書房」のロケ地は神保町の外れ西神田にあります。




但し、公開から10年という時間の流れは再開発という名の変化がいたるところで発生しており、ロケ地の中には全く姿を変えているところもあります。残酷なようですが、これが東京という大都会の現実です。



この早雲荘での同居人の板前修業中の香具矢(かぐや)に馬締は恋をします。




辞書1冊を完成させるのに10年以上の歳月と多大な努力を費やしているということを原作本と映画で知りました。映画自体も芸達者な役者さんたちが良い味を出して楽しめました。神保町周辺の雰囲気も映画に良くマッチしていたと思います。
東京④ ~ ドラマ「東京ラブストーリー」
次は1991年に公開された”外国育ちで自由奔放なリカと地方から上京した完治を中心に東京に暮らす男女5人の若者たちの姿を描いた大ヒットTVドラマ「東京ラブストーリー」”の舞台となった東京都内各地です。
リカと完治が働いていたのが「ハートスポーツ本社」です。


完治は東京で高校の同級生だった初恋の人さとみと三上に再会します。

完治とリカの恋の始まりの舞台となったのが「代々木公園」です。


そして、物語のハイライトシーン舞台となったのがこの跨線橋です。



当時のTVドラマのセリフとしてはかなり衝撃的なものでした。ただ、リカの表裏のない爽やかさがそんな違和感を吹っ飛ばしていたような気がします。
ドラマには東京の様々な風景が映されていました。



別離を覚悟したリカが訪れたのが完治の故郷である愛媛県大洲市でした。



最終回でリカがハンカチを結び付けて完治と別れる海の見える駅のシーンは強く印象に残っています。


バブル期に若者だった世代には非常に印象深いドラマですが、令和の時代になってもリメイクやミュージカル化されており広い世代に支持されるストーリーなんだなと実感しています。ロケ地を巡るとドラマの時代とは様変わりした場所もある一方、変わらない風景が楽しめるところもあり感慨深いです。
<ドラマ情報>
東京ラブストーリー 1991年
監督 永山耕三、本間欧彦
出演 鈴木保奈美、織田裕二、有森也実、江口洋介、千堂あきほ
東京⑤・神奈川① ~ 映画「シン・ゴジラ」
次は2016年に公開された”新しい辞書づくりに取り組む、個性豊かな出版社編集部の人々の人間模様と地道な努力を積み重ねる姿を描く映画「舟を編む」”の舞台となった東京の神保町周辺です。
ゴジラは世界中でその名を知られた日本を代表する怪獣です。

この映画のゴジラは時間の経過とともに形態が変化します。最初は正体不明の形態で身体の一部だけが東京湾に登場します。


次に手足が未発達の形態で上陸する地点がJR蒲田駅周辺です。



ここまでの場面に登場するゴジラは、私たちが慣れ親しんだ姿とは似ても似つかないもので衝撃を受けました。ただ、形態がどんどん変化していくという発想はとても面白かったです。
上陸後一度海に戻ったゴジラは、最終形態となって鎌倉周辺に上陸します。


上陸後東京を目指して陸上を進んだゴジラは神奈川県との県境を流れる多摩川に到達します。





東京都内へのゴジラの侵入を防止するために神奈川県側の武蔵小杉~新丸子エリアを戦場とするという設定は、娯楽作品と分かっていても、このエリアの人たちにとっては複雑な思いを抱かせるものだったと思います。
ゴジラとの最終決戦は東京駅の駅舎周辺で行われます。



ゴジラの立ち位置を不条理に人間を襲う生物としたことで、政府や官僚の対応等に重きをおいた人間ドラマになっていました。その分、ゴジラが襲うエリアの映像はこだわって作られており、ロケ地を巡るとそのシーンがすぐ浮かんできて楽しいです。
<映画情報>
シン・ゴジラ(英題:SHIN GODZILLA) 2016年
監督 庵野秀明、樋口真嗣
出演 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子
神奈川② ~ 映画「冬の華」
次は1978年に公開された”組を裏切った兄弟分を殺した罪で15年間服役した昔気質のヤクザが出所後に再び抗争に巻き込まれていく様子を、殺した相手の娘の成長を支援する”あしながおじさん”としての姿と絡めて描いた倉本聰脚本の異色任侠映画「冬の華」”の舞台となった神奈川県の横浜です。
15年の刑期を終えた主人公・加納が横浜に戻ったところから映画は始まります。


加納は組が用意したマンションがある「山手」にタクシーで向かいます。






山手は旧外国人居留地で洋館が並ぶ横浜の人気観光スポットです。映画の世界を離れても異国情緒や横浜の歴史を感じさせる雰囲気の良い場所です。
加納が15年前を回想するシーンで登場するのが鳥取砂丘です。

加納は洋子の成長を獄中から「ブラジルの叔父」と称して支援し、手紙のやりとりもしていました。洋子の通っていた学校が同じく山手にある設定です。




この他にも横浜の名所がロケ地に使われています。



高倉健が最後のヤクザ役を演じたこの映画は、チャイコフスキーのピアノコンチェルトやシャガールの絵画といった芸術的要素がちりばめられ、「ゴッドファーザー」に通じるような異色の任侠映画でした。映画の筋書きと当時の横浜の風景がよくマッチしていたので、その後の変化も実感しながら横浜の名所を巡るのも一興です。
神奈川③ ~ 映画「海街Diary」
最後は2015年に公開された”家を出た父親の死後、異母妹と一緒に暮らすようになった姉妹4人が様々な出来事に出会う中で家族の絆を深めていく姿を描いた映画「海街Diary」”の舞台となった神奈川県の鎌倉です。
映画の様々な場面で登場するのが江の島電鉄(江ノ電)の「極楽寺駅」です。





駅の近くにある「極楽寺」もお葬式や法事の場面で登場します。




映画の中で次女・佳乃と四女・すずが駅に向かって走っていくシーンがありますが、ゆったりとした物語の中で唯一躍動を感じる場面でした。この辺りの雰囲気は本当に物語にマッチしていました。
また要所要所で使われたいるのが海辺のシーンです。







個性的な四姉妹がそれぞれの事情を抱えながらも絆を深めていく姿を鎌倉の四季の移ろいと共に描いたとても優しい映画だと思います。鎌倉の街角の風景が映画の内容とよくマッチして、訪れてみるとゆったりとした気分になれます。
映画には登場しませんが、鎌倉には季節を感じられるスポットがたくさんあります。




<映画情報>
海街diary(英題:OUR LITTLE SISTER) 2015年
監督 是枝裕和
出演 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず
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